プルーンの化学組成と潜在的健康効果――機能性食品?
『Critical Reviews in Food Science and Nutrition(食品科学および栄養学における批判的批評)』41, no. 4 (2001): 251-286
Stacewicz-Sapuntzakis, M., Bowen, P.E., Hussain, E.R., Damayanti-Wood, B.J. and Farnsworth, N.R.

プルーンとは、古代から栽培され植樹されているPrunus domestica L.の果実を乾燥させたものです。プルーンのほとんどは栽培種のダジャン種を使います。特にカリフォルニアやダジャン種の故郷フランスではこの品種が使われます。生のプルーン果実は収穫後に85〜90℃で18時間かけて乾燥させてから、さらに加工してプルーンジュースやピューレなどの製品にします。本稿では広範な文献レビューとして、プルーンの化学組成とヒトの健康に対する生物学的作用に関する最新の知見をまとめます。プルーンは甘い風味と有名な軽い緩下効果があることから、典型的な機能性食品と思われていますが、作用の仕組みはまだ十分に解明されていません。プルーンには100g当たり6.1gの食物繊維が含まれますが、プルーンジュースは濾過してからびん詰めにするため繊維を含みません。プルーンとプルーンジュースの緩下作用は、ソルビトール量が多い(プルーン100g中14.7g、プルーンジュース100g中6.1g)ことで説明できます。プルーンは単糖として大量のエナジーを供給しますが、血糖値を急激に上昇させることがありません。これは、繊維、果糖、ソルビトールが多く含まれているためと思われます。プルーンはフェノール類も豊富で(100g中184mg)、そのほとんどを占めるネオクロロゲン酸とクロロゲン酸が緩下作用を助け、グルコースの吸収を遅らせると考えられます。プルーンに含まれるフェノール類は、試験管内実験でヒトのLDLコレステロールの酸化を阻害することが判明しています。このことから、心臓病やがんなどの慢性疾患を予防する働きがあると考えられます。プルーンにはカリウムも豊富で(100g中745mg)、心血管系の健康に役立ちます。骨粗鬆症予防にかかわるといわれるホウ素の重要な供給源でもあります。1食分(100g)のプルーンで、ホウ素の一日所要量(2〜3mg)を摂ることができます。適正な表示と正確な食品成分表を作成して摂取に関する勧告や栄養機能表示の裏づけを得るために、プルーンに含まれるカロテノイドなどのファイトケミカルの量を調べるリサーチをさらにおこなう必要があります。

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